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進化的軍拡競争

自然選択により選別された生物が、環境に適した生態、形態を有することを適応と言い、適応の度合いを適応度と言う。適応というと、環境に自らを合わせるような意識的な活動を想像しがちだが、生物進化で言う適応とは「自然選択により、環境に適していない個体が死に絶え、適していない遺伝子が取り除かれた」ために起こる。

サバンナでは、足の遅い草食動物は補食される可能性が高く、足の遅い捕食者は餓死する可能性が高い。生き延びるのは双方とも足の速い個体であり、その性質は子に受け継がれる。世代交代を経るごとに、足の速さは蓄積される。これは自然選択で一般的に見られる現象であるが、相互に作用しあって、ある性質が他の要因による限界(物理的、あるいは食料など経済的限界)に達するまで極端化、極大化することを進化的軍拡競争(もしくは-競走)と表現することがある。またこれは共進化の一形態でもある。

20世紀前半には社会進化論の影響も受け、生物の行動や形質は、群れや種の繁栄のために最適化されていると言う考え方が主流となった。最適化されていない種は滅びる運命にあると考える。これを群選択(Group selection)という。しかし生物がどうやって群全体の(進化的な)状況を把握したり、将来を設計したりできるのかが説明できなかった。

1960年代からは支持を失い、替わってハミルトンやメイナード=スミスらによる血縁選択説が生物の利他的行動の説明として支持を得た。これは自然選択が実質的に対象とするのは個体ではなく、グループでもなく、遺伝子なのだという考え方の道を開いた。リチャード・ドーキンスは利己的遺伝子という比喩によってそれをわかりやすく解説した。一方でエリオット・ソーバーは多レベル淘汰(Multilevel selection、w:Unit of selection)という概念で群淘汰を評価し直している。
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経済学の投資と利潤の概念を用い、自然選択説を数学的に説明した。同じ生殖行動でもオスとメスでは負担が異なり、必ずしも利害が一致しないなどは最適戦略選択説によって導かれたのである。

ある性質が生存と繁殖に有利になるかどうかが、その性質があるグループ内で見られる頻度に依存するという説。シンプルに言えば、その性質がただ少数派と言うだけで繁殖率にプラスになる。有名な例は性比の問題である。種全体の繁殖率のことだけを考えれば、ごく少数のオスと多数のメスがいた方が有利である(オスは一頭で複数のメスを妊娠させることができるため)。しかし多くの生物ではオスとメスの比は1:1に近い。個体の繁殖率を考えた場合、オスとメスの比は1:1がもっともバランスがとれているのである。

性比が極端にオスに偏った群れを想定してみよう。メスは一度に1頭しか出産できないとする。オスが1頭でメスが100頭の群れの場合、メスがもし子の性別を選択できるなら、メスを産むよりオスを産んだ方がよい。オスが2頭、メスが100頭であれば1頭のオスは平均50頭のメスとつがいになることができる(群れ全体を争ってオス同士が競争するにせよ、共存するにせよ、平均50頭である)。これは、オスの母親から見れば50頭の孫を期待できると言うことである。メスの子を産めば、孫の期待値は1頭である。実際には子の性別を選べる生物は多くないが、オスを産む性質とメスを産む性質に遺伝性があれば、この場合オスを産みやすい性質を持つメスの子孫の一族が繁栄することになる。逆にオス:メス比が100:1の群れでは、オスを産んでも配偶者を得られる可能性は1/101である。つまり孫の期待値は約0.01頭になる。メスを産めば、孫の期待値は1頭である。この場合、メスを産む性質が有利となる。この繁殖率の偏りは、オスとメスの比が1:1となったときに最小となる。つまり1:1と言う性比が多くの生物では安定しているのである。

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2009年06月01日 09:44に投稿されたエントリーのページです。

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